いっしーはPIC

「海」ときどき「空」の話し(ピックじゃなくてピーアイシーです)

針路の優先権

 

 

今日は船の話です。

 

2ヶ月ぶりに海に出て来ました。3回に1回くらいはシングルハントでひとりで出るのですが、今日はそれ。半径数キロ以内に自分しかいないという、人口密度希薄によるストレス解消が目的ですが、風も穏やかな1日ですっかりと癒されました。

 

さて、今日の話は針路の優先権についてです。

 

教本や学校では「他船を右に見る船側が、他船に進路を譲る」と習い、同時に避航船(相手側)は「針路と速度を維持する」と教わりますが、プレジャーボートにおいての実際の運用ではまず間違いと思った方が無難と思います。結論的には、洋上か湾内か港内かに問わず「本船や漁船や遊漁船が常に優先」と考えるのが良いかと思います。

 

今日の東京港東京湾も、プレジャーのヨットやボート、そして遊漁船がたくさんで、日曜ですがそれでも仕事がある本線もチラホラ航行していましたが、私は上記のとおり遊びの船同士であれば「他船を右に見る船側が他船を避ける」として航行していましたが、それ以外はすべて「お仕事の船を常に優先」として、自船の艇速を落としたり、自船の進路を変えたりして航行していました。

 

事実これは学校なんかでは教えてくれない「慣習」ですが、実際のところ大きさも目的も関係なく「他船を右に見る船側が、他船に進路を譲る」で運用すると、まちがいなく事故に巻き込まれます。これはプロが優先だとか、やつらは気性が荒いぞ、などというのではなくて、大型の本船や、釣り船に乗ってみるとよく分かると思います。それは周りがよく見えないんです。とくに旅客船や貨物船やタンカーなどは、かなりの距離があっても、舳先の影に自分が居たらまったく見えていません。遊漁船などの場合は、たくさんの釣り人が乗っていたり、艦橋が低いこともあってやはり周りが見えづらいです。こちらかすると相手が大きな船だとよく見えていますが、あちらからすると、ほんとうに見えていない事が多々あり、特に他船と自船をむすぶラインの先に太陽がある時はなおさらです。

 

今日の自分で言うと、1回だけは、あえて速力をあげて他船との衝突回避ラインを作りました。これは相手が砂利運搬船とそれを押すタグボートで、後ろに回るには変針路が大きすぎて、なおかつ相手の速力がかなり低かった為です。これの動作もそうでしたが、進路を譲る時や、回避ラインを示す時は「おおげさ」がオススメです。おおげさなくらい進路を大きく変えたり、おおげさなくらい速力を落としたり、おおげさなくらい速力をあげるほうが、意思がはっきりと相手に伝わります。

 

 

今日はこのへんで、、、

UW・安全航海をお祈りします!

 

 

クルーザー初心者が、簡単に安全に着岸する方法

 

 

今日は船の話です。

 

なんだか二極化を感じる世の中ですが、我が所属マリーナでも、いわゆる成金オーナーさん?が、いきなりデカイ船を手に入れて、着岸でわちゃわちゃしている(笑)のを見掛けます。

 

多くの初心者が間違えているのが、勢いで着岸させようとして、斜めに高速で進入し、バックギアで急停止させ、風下に流されないうちに急いでもやいをとるというやり方です。これは大間違いで、無理がありそして危険です。隣船にもぶつけやすい着岸と言えます。我がマリーナでも、これで他の船にぶつけたり、急いで桟橋に飛び移ろうとして海に落ちるなど、何度も見てきています。かつて私もそうでした。

 

実はある方法を知ると、どんなに強風でも着岸が怖くなくなります。今日はその「実は着岸は難しくない」というお話をさせて戴きます。先んじて言うとコツは5つです。

 

・ボートフックを用意、最大限に伸ばしておく。

フェンダーを付ける。なるべくたくさん。

・風をちゃんと読んでから着岸する。オンショアかオフショアか。

・桟橋と並行にまっすぐ進入する。ゆっくり進入する。

・一発で着けようとしない。何度でもやりなおせばいい。

 

隣に船が並んでいるマリーナ基準で話しを続けます。オンショアは同様の方法でいとも簡単に桟橋に一発着岸できますので、以下では、誰もが難しいと感じるオフショアの場合についての話をします。結論をヒトコトでいうと次の通りです。

 

 

オンショア(桟橋に自船が寄せられる風)の時は、桟橋に着ければよいが、オフショア(桟橋から自船が離される風)の時は、無理に桟橋に着けようとせずに、隣船に着船させる。

 

 

では、秘技を具体的にお伝えしましょう。

 

1)まず、風を読みます。桟橋に船が寄せられる方向(オンショア)に風が吹いているのか、桟橋から船が離される方向(オフショア)に風が吹いているのかを把握します。入港前に微速で前進しながら、風の方向を肌で感じて把握します。「マリーナ内微速航行」はマナーやルールなだけではなく、こういった理由もあるんです。

 

2)次に、風下側にフェンダーを出します。船が平行で並んでいるマリーナでは隣船側です。なるべく多くが良いです。これにより風下の隣船にぶつけてもショックが吸収されるからです(なおオンショアであっても隣の船側には必ずフェンダーを出しましょう。風向きが変わった時の為です。つまりオンショアであってもオフショアであっても、隣船側には必ずフェンダーを出すと良いでしょう。私は常にそうしています)。

 

ここからが大切なポイントです。

 

3)桟橋から離される方向に風が吹いている訳ですから、無理して桟橋に着けようとせずに、風下側(隣船)にゆっくりと近づけばいいのです(もちろんフェンダーを大量につけた状態で)。ゆっくりです。隣船と並行に、まっすぐ進入して下さい。斜め進入は厳禁です。エンジンはちょっとづつ「入れては抜く」を繰り返します。そして、隣船にそっと着船させ、エンジンをニュートラルにします。これによって、風上側の桟橋から離れた状態で、風下側にある隣の船にぴったりとくっついた状態で自船が安定します。風下に押されっぱなしの風が吹いていますので、隣船にくっついて離れません。

 

4)このあと、ゆっくりと落ち着いて、ボートフックを使って、桟橋にもやってある策(ロープ)をとって、それを手で手繰り寄せれば、最終的に桟橋に着岸できます。

 

以上が熟練者は皆が知っている「強風でも着岸は難しくない」という方法です。「ボートフック」と「フェンダー」はこの為にあるのですが、このふたつを使わない船長さんが多い事多い事、、、ボートフックとフェンダーは必ず用意しましょう。フェンダーは最低でも4つ。ボートフックはテレスコピック型の長く伸ばせる物がお勧めです。そして舫索は出航前に桟橋側に舫っておきましょう。

   

今日はこのへんで、、、

UW・安全航海をお祈りします!

 

 

舫結び(もやいむすび)

 

 

今日は船の話です。

 

もやい結びに限った事ではありませんが、索(ロープ)を結ぶとき、結び方を知っているのと、上手に結べるのは、まったく異なります。

 

 

運送業なんかもそうなんでしょうが、こと船の世界では、漁師さんは上手に結ぶ方法をよく知っていて、さすがプロだなあと感心してしまう事が沢山あります。きょうはそのひとつをご紹介します。教科書にはなかなか載ってない話です。

 

舫い結びには、むこうもやいと、てまえもやいのふたつがあって、それぞれやり方が異なりますが、今日は手前舫の話をします。あちらを舫うのではなく、こちらを舫いたい時の方法です。

 

体育座りをして自分の右足をピットに見立てます。左側からロープを取り、右手で先端を持って、ふくらはぎの後ろを通します。次に左のロープを左手で取って剣道の竹刀ように顎の先にまっすぐ立てます。その縦のロープの上に、右手を添えたまま右のロープを十字架のように重ねます。右手で下にある左手が持ってきたロープを一緒に握って、左を向いている右手先を、下向きにぐるっと360度ターンします。水泳でいうドルフィンターンみたいに、手前にぐるっと。そうすると、目の前には、輪っかができているので、その輪に右手で最初に持ってきた先端を差し込みます。輪の上から入れて向こうにです。最後に、縦に伸びている左手で持っていたロープと、今差し込んだ短い先端を一緒に押さえたまま、輪の下右足にまとわっているロープをギュッと引きます。

 

書くと長いですが、覚えると2秒以下で出来ます。これが、上手にむすべるというヤツです。教科書通りにやっていたら、5秒も10秒も掛かってしまいます。

 

実際海上では、特に荒天時などは、もたもたできませんし、手元を見ながら結んでいては酔っ払ってしまいます。

 

 

今日はこのへんで、、、

UW・安全航海をお祈りします!